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「当社」「弊社」はすべて「WE」―機械翻訳に確実に出力させるには?

社員として自社を指すときは、「当社」や「弊社」を使うものです。英語では「We」の一種類で済みますが、機械翻訳にそれを出力させるには一工夫必要です。

今回扱うのは、新規の契約相手への会社説明の文章。どう書けば機械翻訳にも読み取れるよう自社をしっかりアピールできるのでしょうか?

今回の原文は、『今すぐ使える英語メール文例集』様より、こちらの文章

このたびはご契約を頂きまして、ありがとうございます。私は担当の石田と申します。
当社は洗剤一筋に50年この業界でやってまいりました。老舗としてのほこりを持っております。ですが、いまどきの主婦に受ける商品開発にも力を入れる所存です。

これをGoogle翻訳で英訳した文章がこちら。

Thank you for receiving this contract. I am Ishida in charge.
Our company has been doing detergent for 50 years in this industry. I have dust as a long-established store. However, I am willing to put power into product development received by housewives now.

この英訳は、原文をどれほど反映しているのでしょう。以下から訳文のポイントについて見ていきましょう。

洗剤を一筋に50年この業界でやってまいりました

ここの英訳文は「Our company has been doing detergent」。

doing detergent」とあることから、「洗剤をやってきた」というような言い方になっています。「洗剤を取り扱ってきた」と言いたいのだろうと察してくれるかもしれませんが、どうせなら違和感のない言い方にしたいところ。

出展ページの対訳では「done our business in a field of detergent」となっています。「do business」で「ビジネスをやってきた」と言い表せるので、こちらの訳文が望ましいでしょう。その他、「continued business in detergent industry」という表現も考えられます。

このような訳文を出力させるためには「当社は洗剤業界で50年間ビジネスを続けてきました」という文章が一例として挙げられます。これで「Our company has been doing business for 50 years in the detergent industry.」という自然な訳文が出てきます。「洗剤を扱ってきました」という表現を入れると「handle detergent」という訳文になりますが、ビジネスとして取り扱っているというニュアンスは薄いので、先ほどの例文のように「ビジネスを行ってきた/続けてきた」と明示してしまうのがいいかもしれません。

ほこりを持っています

「ほこり」に対応する訳語が「dust」となってしまっています。ここは漢字で「誇り」と表記すれば「take pride(誇っている)」という訳文が出力されるので修正は簡単。同音異義語が存在する場合は、漢字表記をするのが安全策ですね。

いまどきの主婦

Google翻訳では単に「now」と訳されていますが、「いまどき」という言葉は単に「今現在の」という意味なのでしょうか?出典ページの対訳を見ると「young housewives」となっています。個人的にはこちらの訳文に寄せた方がいいと思います。

「いまどきの~」という言い方は、単に新しいというだけでなく、現在風の価値観に基づいている、という意味を含むと解釈してみましょう。この解釈で「いまどきの」を訳そうとすると、「now」の一語だけでは価値観の差違というニュアンスまで表現できません。

上記の解釈をとるならば「young」の訳語はより的確です。新しい価値観に染まっていて若くない人も当然存在するでしょうが、新しい価値観をまっさきに受け入れるのは若い人であり、「いまどきの~」に含まれる割合も高いはず。なので「young housewife」とするのは、完璧ではないですが理にかなった訳でしょう。

この部分はもう一つ、「受ける」という表現も変えておきたいところ。Google翻訳の訳語は「received by (housewives)」となっていますが、「receive」という単語は物理的に受け取るというニュアンスが強く、心理的に受け入れる・喜ばれると言いたいのであれば別の単語を使うべきです。

例えば、「主婦に受け入れられる(→accepted by housewives)」や「主婦に喜ばれる(→appreciated by young housewives)」などの表現を使えば、本来意図したニュアンスを持つ訳語を出力できます。

主語を補うこと

会社としての立場や発言をするときは、主語を「we」にするのが一般的です。ところがGoogle翻訳の訳語を見ると、「老舗としてのほこりを持っております」と「ですが、いまどきの~」の訳文の主語は「I」になってしまっています。

こうなるのは、原文の主語が抜けていることが原因。Google翻訳は主語がない文章を訳する際、適切と思われる主語を補った上で訳文を作ってくれます。今回の場合はすべて「I」を補ってくれたわけですね。

これを修正するには、主語をいちいち「私たち」にするのが確実です。「当社」と入力しても「we」にしてくれることがありますが、基本的に「Our company」に変換されます。「Our company」を何度も使うとくどくなるので、そちらを使うのは最初の1~2回だけにとどめておき、あとは確実に「we」が出力される「私たち」にするといいでしょう。

力を入れる所存です

ここは「we are committed to putting our emphasis on~」と訳されています。「~に力を注ぐよう努めていきます」というような言い方になって、少しくどい感じ。なので「~に注力していきます」という風に直したいところです。

ここはシンプルに「所存です」を取り除き、「力を入れています」とすればOK。これで「also putting emphasis on~(~にも力を注いでいます)」となってすっきりします。

上記を踏まえ、自然な英訳文を出力するための例文を載せておきます。

このたびはご契約を頂きまして、ありがとうございます。担当を務める石田と申します。

当社は洗剤業界で50年間ビジネスを続けてきました。私たちは老舗としての誇りを持っております。ですが当社は、若い主婦のための商品開発にも力を入れています

「いまどきの~」のようなインフォーマルな表現はなんとなく伝わりますが、機会翻訳はまだまだ「なんとなく」までは組んでくれません。どうしてその言葉を使ったか、何を伝えようとしたのかを一意に決定するのは難しいこともあるでしょう。

それでも、できるだけ読み込んだ上で適切と思われる言葉に置き換えることで、より伝わりやすい英訳文を出力させることができます。

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