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「久しぶり」の多様な言い方、機械翻訳でどう出力できるか?

「久しぶり」ということを英語で言うとき、意外に多様な表現のしかたがあるものです。ところが「Long time no see」という言い方が広く使われているため、機械翻訳ではこれ以外の表現を出しにくいもの。

そこを一工夫して多様な言い回しをするにはどうすればいいのか?今回の記事ではそれを探ってみます。

今回の原文はPHP文庫『そのまま使える! ビジネスメール英文集』より、以下の文章です。

お久しぶりですもう5年前のことになりましたが、一緒にお仕事をさせていただいた際にはお世話になりました

Google翻訳で英訳したものがこちら。

Long time no see. It was already five years ago, but I was indebted to you when I worked with you.

では、訳文のポイントを見ていきましょう。

お久しぶりです。

今回Google翻訳は「Long time no see」と訳してくれました。一般的な表現をもってきた堅実な訳です。

とはいえ、日本語でも「ご無沙汰しています」「しばらくぶりです」というような言い換えがあるように、英語で「久しぶり」と言いたい時にも「It’s been a while」「It’s been long since we last met」といった複数の表現があります。ところが、「ご無沙汰しています」や「しばらくぶりです」といった言葉を訳させても十把一絡げに「Long time no see」という訳語にされてしまいます。これ以外の訳文を出したいとき、Google翻訳にどのような入力をすればよいのでしょうか?

ベースとなるのは、「それは時間が経ちました」という文章です。これを訳させると「It’s been a while」という、「久しぶり」を意味する別の表現が出てきます。日本語としては不自然ですが、「それは」を抜かすと別の訳文になることに気をつけてください。

これをベースに例えば「それは長い時間が経ちました」とすれば「It has been a long time」となり、長期間会っていないというニュアンスが付け足されます。前述の「It’s been long since we last met」という訳語を出力したい場合は、「私たちが最後に会ってから、それは長い時間が経ちました」と入力しましょう。そうすれば望み通りの訳文が出力されます。

大体は「Long time no see」で事足りますが、少し表現にバリエーションが欲しい時には、このような書き換えが有効でしょう。

もう5年前のことになりましたが

ここの訳文は「It was already five years ago」となっていますが、唐突に5年前の話が始まっていてなんのことかわかりません。

この文には「5年前一緒に仕事をした」ことと「その時はお世話になった」という2つのメッセージが含まれています。Google翻訳の訳文は「あれはもう5年前の話だ」「一緒に仕事をした時にお世話になった」という区切り方になっており、5年前に何があったのかということがわかりにくくなっています。

そこで、「5年前一緒に仕事をした」ことを伝えるよう文章を組み替えましょう。一例として「私たちが一緒に仕事をしてから、すでに5年が経過しています。」と入力すれば「Five years have already passed since we worked together.」という訳文が出力されます。メッセージは過不足なく伝わっているので、これは十分な出来の訳文と言えるでしょう。

お世話になりました

「お世話になりました」という言葉の訳文にありがちですが、これは「indebted」と訳されてしまっています過去の記事でも触れたように、これは日本人の感覚で言う「お世話になりました」と比べてかなり大袈裟な言い方です。ビジネスメールで使うのはよほどのことがない限り避けた方がいいでしょう。

出典となった書籍に載っている対訳文ではこの箇所は削除され、5年前一緒に仕事をした、と述べるだけにとどまっています。全体としては削ってしまっても問題ない一言と言えるかもしれません。

そこをあえて訳してみるとどうなるのでしょう? ここでいう「お世話になった」は、当時一緒に仕事ができたことに感謝の念を示していると考えられるでしょう。そうなると例えば「当時一緒に仕事をしてくださって、感謝しています」という文面が考えられます。これを入力すれば「Thank you for working with me at the time.」という訳文が出力されます。感謝を表すための文面としては無難なもののはず。

ここから転じて、一緒に仕事ができてとても嬉しかったと伝えるのも英語の感覚ではアリかもしれません。そのような言い回しをしたい場合は、「光栄でした」と入力して出てくる「It was an honor」という訳語がしっくりくるでしょう。

「Long time no see」は広い局面で使われるため、「久しぶり」という言葉を訳させると高い割合でこの表現が出てきがちです。あえてバリエーションをつけようとすると、「それは長い時間が経ちました」のように、日本語として読めば不自然な表現を使わざるを得ません。

やがて人間からのフィードバックや、訳文例のデータの充実などによって、自然な日本語の表現が自然な英語の表現に訳される時が来るはず。

それまでは、機械翻訳に読み取れる限界を人間がうまく見極めて、機械翻訳フレンドリーな文章を書く必要があるのでしょう。

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