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「電話で聞いた」は、Google翻訳的に要注意の表現!

電話がかかってきて、○○が~をしたと聞いた――いかにもシンプルな表現ですが、機械翻訳がからむとちょっと注意が必要です。

英語的には、これは2つの動作と2つの主体がある文章です。問題なのは、それぞれの関係性の表現。

気をつけないとどうなるか、ちゃんと訳させるにはどうすればいいのか、この記事で見ていきましょう。

今回の原文は、『書きたい表現がすぐに見つかる英文メール』より以下の文章。

このような悲しい訃報をお伝えせねばならない役目を本当に辛く思いますが、イアンが週末に亡くなられたそうで、私たち全員ショックを受けております。彼の息子さんから電話があり、イアンは日曜日に自宅で倒れ、病院に着く前に息を引き取られたそうです。おそらく心臓発作か脳卒中のようなのですが、命を救う手立ては誰にもほとんどなかったそうです。

Google翻訳の訳文は以下の通りです。

It is really hard for me to tell you such a sad newsletter, but Ian seems to have died on the weekend and we are all shocked. His son called me and Ian fell down at home on Sunday and he took my breath before I got to the hospital. It is probably like a heart attack or a stroke, but it seems that there was hardly anyone to save lives.

それでは、重要なポイントを見ていきましょう。

電話があり、自宅で倒れ~

ここの訳文は「His son called me and Ian fell down at home」となっています。この文章は「彼の息子が電話をしてきた、そしてイアンが自宅で倒れた」というような意味。これでは電話があったこととイアンが自宅で倒れたことがそれぞれ無関係の出来事のように書かれてしまってます

この部分、本来は「電話があって、その電話口で訃報を聞いた」という流れ。単に両方の動作を併置するだけではだめで、「彼の息子から電話があって、そこで聞いた話によると~」や「彼の息子が~を伝えるため電話をしてきた」というように、イアンが倒れたことを電話で聞いた、という形式にする必要があります

そのような訳文を出力するには、以下のような文章が考えられます。

彼の息子が電話をかけてきて、それによると、イアンは日曜日に自宅で倒れ、病院に着く前に亡くなられたそうです」

His son called me and said that Ian fell down at home on Sunday and died before arriving at the hospital

ポイントになるのは「それによると」。英文ではこれは「and said」と訳されている箇所です。これを差し挟むことで「(電話をかけてきて)そして(イアンが倒れたと)言った」という意味になり、ちゃんと電話口でイアンの死を聞いたということがわかる文章になります。

この他、文章を2つに分け、「彼の息子が電話をかけてきた。彼によると~」という書き方でもOK。こうすると「His son called me. According to him ~」という表現になり、~以降で伝えられるイアンの死が彼の息子から電話口で伝えられたということが伝わるはず。

この文章のように、「~してきて~ということを伝えてきた」という表現をしたいときは、前後の動作が別々に起こったものではなく、前者の動作によって後者のできごとがこちらに伝えられた、というニュアンスをちゃんと出せるよう注意を払う必要があります

そういう場合は「それによると」という一語を使うことで、うまくそのニュアンスを出すことができます。

息を引き取られた

ここの訳は「he took my breath」。「take a breath」という成句は「呼吸をする、休憩する」という意味になります。「take(=引き取る、取る)」と「a breath(生き)」という直訳なのでしょう

「took my breath」となっているのは、おそらく「引き取られた」という敬語表現を受動態と認識し、「わたしは彼に息を取られた(=彼が私の息を取った)」と表記したものと思われます。

ここはストレートに「亡くなられた」と書けば誤訳は解消されます。

手立てはほとんどなかったそうです

ここの訳は「there was hardly anyone to save lives」。「命を救うべき人はいないに等しかった」という意味になります。亡くなったのはイアン一人だったので、他に命の危険にあった人はいないはず。どう考えてもおかしな訳文です。

詳しく見てみましょう。原文は「手立てがなかった」ことを言っているのに対し、訳文ではなぜか「手立て」という言葉が抜けてしまっています。代わりに「誰にもほとんどなかった」が由来になったのであろう「anyone」という代名詞が、あるべきではない場所に紛れ込んでいます。

「anyone」自体は入っていても問題ありません。まずいのはその位置。

この文は「~はほとんどなかった」という形なので、訳文も「there was hardly~」になっています。~の部分に「なかったもの」が当てはまるわけですね。

本来その「なかった」ものは「手立て」であるはずが、前述の通り訳文からはその言葉が抜けてしまっています。そこに、入れ替わるように「誰か(anyone)」が入ってしまったため、方法がないではなく人がいないかのような訳文になってしまった

これを、本来の意図が伝わるような訳文に直してみましょう。

ここで一番言いたいのは「助ける手段がなかったこと」。「手立てが誰にもなかった」という表現をしようとすると、「手立て」と「誰にも(=人間)」という2つの名詞の関係性がこじれないような工夫が必要になります。これはなかなか面倒。

一番伝えたいメッセージを的確に伝えるには「誰にも~」という、人を示すくだりは削ってしまった方が機械翻訳フレンドリーな言葉になります。なので、「命を救う手立てはほとんどなかったそうです」と入力するのが理に適っているでしょう

そしてこのままだと「命」が「lives」という複数形で出力されてしまいます。ここは「イアン氏の命」しか言及されていないので、その点で誤解がないよう「彼の命」とすれば万全。

他にも、「彼の命を救うのはほぼ不可能だったそうです。」という入力もアリでしょう。こうすると「It seems that it was nearly impossible to save his life.」となり、少し形式は異なりますが同様の意味を表す訳文ができあがります。

これを踏まえて、原文の意図をちゃんと英語で示せる訳文を作るには、以下のような文章を入力するといいでしょう。

このような悲しい知らせをお伝えせねばならない役目を本当に辛く思いますが、イアンが週末に亡くなられたそうで、私たち全員ショックを受けております。彼の息子が電話をかけてきて、それによると、イアンは日曜日に自宅で倒れ、病院に着く前に亡くなられたそうです。おそらく死因は心臓発作か脳卒中だったそうですが、彼の命を救う手立てはほとんどなかったそうです。

電話口で~を聞いた、という日常的な表現にも、2つ動詞が絡んでくると訳文はこんがらがる可能性があります。そんなとき便利な「それによると」というひとこと。ぜひ覚えておいてください。

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