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「Continue」だけが「~続ける」の英訳ではない

英語の「have been」などの現在完了は、日本語にはない文法規則です。これは「~し続けている」というような、時間的広がりを示すため使われるもの。

日本語には組み込まれていない文法を使った文章をGoogle翻訳に訳出させるには、どうすればいいのでしょう?答えは、いくつかのキーワードの組み合わせでした。

今回の原文は、Weblioより以下の例文。

ジェイムズからあなたが3日間入院されていると聞きました。お加減はいかがでしょうか。また、来週の頭に仕事に復帰されると聞き安心いたしました。あまり根を詰めて働き過ぎないように、どうぞご自愛くださいませ

これをGoogle翻訳で英訳したものが以下の文章。

I heard that you are hospitalized for 3 days from James. How is it? Also, I was relieved to hear that I will be back to work earlier next week. Please do not be too careful not to work too hard to work too much.

以下から訳文のポイントを見ていきましょう。

from Jamesの位置

「ジェームズから聞いた」は「heard from James」の訳で問題はありません。ですがこの訳文、「heard」と「from James」の間に長めの文節が挟まっています。これでは少し読みづらいので、「from James」の位置を調節しましょう。

やり方は非常に簡単で、ただ原文の文節を組み替えるだけ。「あなたが3日間入院されているとジェイムズから聞きました」とすれば、ちゃんと「I heard from James~」と訳出されます。

3日間入院されている

ここの訳文は「you are hospitalized for 3 days」となっています。「be hospitalized」で「入院する」という意味なので、言いたいことは伝わるのですが、時勢が現在形という点が気にかかります

なぜ現在形ではダメなのか?それを少し解説しておきます。

「3日間入院している」という文章には2つのメッセージが隠れています。1つめは「現在入院している」、2つめは「入院を始めたのは3日前」というもの。この一文は、入院するという動作が3日前に開始され、現在でも続いている、という風に再構成できます。

ここで「be hospitalized」という表現を掘り下げてみましょう。これは現在形の表現であり、前者のメッセージは含まれていても「入院しているという状態が3日間続いている」というメッセージまでは必ずしも含まれないのです

このように時間的な広がりがあることを表現するために、英語には過去分詞という用法があります。日本語にすれば、「しばらくの間~している」というようになる感じです。2つのメッセージをちゃんと表現するためには、「you have been hospitalized」とするのが望ましいのです。

ところが、日本語をもとにしてGoogle翻訳を使い「I heard(saw) it has been~」という構文を出力させるのは少し工夫が必要なようです

まずは「~と聞いた」という部分を取り除き、「あなたが3日間入院されている」とだけ入力してみましょう。この場合、ちゃんと適切な現在完了の時勢を使った「You have been hospitalized for 3 days」という訳文が出てきます。

ところが「あなたが3日間入院されていると聞きました」を訳させてみると、高い確率で「I heard that you are hospitalized for 3 days」が出力されてしまいます。過去分詞になっておらず、現在形のままである点に注意してください。

こうなる原因は、日本語の文法と英語の文法の根本的な違いにあると思われます。つまり、日本語の文法構造で現在完了を直接かつ的確に表す方法がなく、文中の単語などを工夫して間接的に表現するしかない、ということです。

例を挙げてみましょう。「あなたが仕事をしている」という文章を訳させると、シンプルな現在形とみなされて「you are doing a job」と訳されます。この訳文には、一定の期間仕事をしている(=working)状態が続いているという現在完了のニュアンスはありません。

それでは「あなたが仕事を続けている」としてみましょう。その場合の訳は「You keep on working」となり、「継続」のニュアンスが追加されます。これでもまだ現在完了形にはなりません。

ではもう一つ、「しばらくの間」という言葉を足して「しばらくの間あなたが仕事を続けている」としてみましょう。すると「You have been working for a while.」となり、ようやく現在完了のニュアンスを含めた訳文ができあがりました。

「しばらくの間」の他に「~日間」や「~年間」など、具体的な期間を示す言葉を付け加えても現在完了の英文になります。日本語の入力から現在完了のニュアンスを含めた英文を出力させたい場合、「~の間」と「続けている」という表現がキーポイントになりそうです

2文目の主語

仕事に復帰することを聞いたのは「わたし(I)」であるが、仕事に復帰するのは「あなた(you)」なので、原文で主語を補う必要があります。

「また、来週の頭にあなたが仕事に復帰されると聞き安心いたしました。」とすれば、仕事に復帰するのは「You」、安心するのは「I」となり、適切な文章になります

あまり根を詰めて働き過ぎないように、どうぞご自愛くださいませ。

これをそのまま訳させて出てくる「please do not be too careful not to work too hard to work too much」という訳文は、文のつながりが意味不明になっています。強引に和訳するのであれば、「働き過ぎるため、働き過ぎないようあまり気を張りすぎることのないように」のような文章。

これではどうしようもありません。まずは文章を「根を詰めて働き過ぎないようにしてください。」と「ご自愛くださいませ」に切り分けてみましょう。

前半部分の「根を詰めて働き過ぎないようにしてください」の訳は「Please do not work too hard by packing roots」になります。この訳文は、「根を詰めて」という言葉が「by packing roots(根を詰め込んで)」と直訳されてしまいます。ここは「働き過ぎないでください」で出力される「Please do not work too much」や、「熱心に働き過ぎないでください。」で出力される「Please do not work too hard.」が適切な表現といえるでしょう。

「ご自愛くださいませ」は「please take care of yourself」が使える。これはそのまま訳させれば出てくるので、特に変える必要はありません。

一文を2つに切り分けることで、うまく英文を組み立てることができました。

これまでの内容を踏まえて、適切な英文を出力できる例文を書いておきましょう。

ジェイムズからあなたが3日間入院し続けていると聞きました。体の調子はいかがでしょうか。また、来週の頭にあなたが仕事に復帰されると聞き安心いたしました。あまり熱心に働き過ぎないでください。ご自愛くださいませ。

日本語ではほとんど意識されることのない現在完了や過去完了という文法。ですが英語では、時間的な広がりを持つ出来事や、出来事の起きた順番を理解しやすくするために使われることが頻繁にあります。

現在完了の表現を引き出すキーワードは、「続けている」と「~間」。ぜひ覚えておいてください。

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