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Microsoft翻訳は読み飛ばしに要注意

インターネット接続なしでニューラル機械翻訳を、という謳い文句でデビューしたMicrosoft翻訳。その実力はいかほどのものか、ということで、過去に本ブログで取り上げた文章を訳させてみて、Google翻訳の文章も交えて比較してみました。

今回の原文はWikiquoteより、ケネディ大統領の演説文です。このGoogle翻訳分を取り扱った過去の記事はこちらから

As Winston Churchill said on taking office some twenty years ago: if we open a quarrel between the present and the past, we shall be in danger of losing the future. Today our concern must be with that future. For the world is changing. The old era is ending. The old ways will not do.

Microsoft翻訳の訳文は以下の通り。

オフライン

ウィンストンチャーチルは、約20年前に事務所を撮影に言ったように:我々は現在と過去の間で喧嘩を開く場合、我々は将来を失う危険にさらされるものとします。 今日、我々の懸念は、将来する必要があります。 世界のために変化している。 古い時代は終わらない

オンライン

ウィンストンチャーチルは約20年前にオフィスを取って言ったように: 我々は現在と過去の間にけんかを開いた場合、我々は将来を失う危険にさらされるものとする。今日の私たちの懸念は、将来とする必要があります。世界のために変化している。昔の時代は終わっています。古い方法はしません

それでは、訳文を見ていきましょう。

「on taking」の訳

どの機械翻訳をみても、「on doing~(~すると同時に)」の意味を反映できてはいません。とはいえMicrosoft翻訳をオンラインで使った場合の訳は、構成だけを見れば「take office」と「say」を同列にしており、従って一方の動作の後に他方が行われるような言い方になっているので、その点だけは原文のニュアンスを一番うまく反映できているでしょうか。

一方「take office」の訳語は、Google翻訳の「就任」が随一です。

Today our concern must be with that future

「今日、私たちの関心はその未来にあるはずです」としたGoogle翻訳の訳文と比較すると出来は歴然です。これと比べればMicrosoft翻訳の訳文は文章がぎこちないだけでなく、意味も取り違えてしまっています。

これではまるで「将来」と呼ばれる何者かと一緒に心配する、というような言い方になってしまいます。本来言いたかったことはこうでなく、Google翻訳の訳文のように「未来のことに関心を向けるべきである」ということです

For the world is changing

Microsoft翻訳はいずれも「世界のために変化している」という訳文。「ために」というのは「for」が由来なのでしょう。Google翻訳の訳文は「世界は変化しています」という、「for」のニュアンスを取り除いたような訳文でした。

どちらの訳がより正しいのでしょうか。厳密にはどちらともいえないのですが、強いて言うならGoogle翻訳の方がよい訳といえるでしょう

それぞれの訳について語るためには、この「for」をどう解釈するかが重要になってきます。

これはおそらく「because」と同じ、理由を表す接続詞。そもそもこの「for」は、文法に即して考えると、「For the world is changing」という文の中で何の役割を果たすのかがわかりません。

この文は主語が「the world」、動詞が「is changing」というごく基本的な構造で、これだけで「世界は変化している」という意味を表します。それを前提にこの「for」を前置詞として、つまり「~のために」という言葉だとして解釈すると、「the world is changing for~」という形になっていないといけないはず。「for」以降に何らかの名詞が来て、「~のために世界は変化する」という文章でないと意味をなさないのです

あえて「for」を文頭に置く場合を考えるとすれば、「For the world that is changing」と書く場合があるでしょうか。これは「that」以降が形容詞節となり、「変わりゆく世界のために」という意味になります。しかしこれも、後に続く何かしらの言葉が必要です。この直後にあるのは「the old era is ending(古い時代が終わりつつある)」という一文。「変わりゆく世界のために」に続いても、何を言いたいのかがわかりません。

それよりはこれを接続詞として解釈したほうが、これ以降の文章のつながりが自然になります

「For the world is changing」以降の文章を区切るピリオドをすべてコンマに置き換えてみましょう。すると、「For the world is changing, the old era is ending, the old ways will not do」という文章になります。これであれば「for」を接続詞として解釈しても意味が通り、文全体として「世界は変わりつつあり、古い時代は終わりを迎えつつあるのだから、古い方法は通用しなくなる」という意味になります。

これは元々演説の一節です。口頭で語られたことを文字に起こしたためにコンマがピリオドとして転記されたと考えれば、このような形で残ることもなくはないでしょう。

別々の文章を一続きのものとして解釈したほうが自然な構成になるというのは、機械翻訳にとってはひっかけ問題に近いでしょう。切り分けた文章に含まれた状態では意味をなさない「for」の意味をMicrosoft翻訳が拾ってしまうのは仕方ないかもしれません。しかしそれを考えると、どちらの機械翻訳も意味は取り違えているという前提ですが、この「for」をノイズとして切り捨てたGoogle翻訳は、自然な日本語表現にするという点で一枚上手だといえるような気がします

The old era is ending

Microsoft翻訳のオンラインとオフラインで訳が大きく変わった部分です。「古い方法はしません」という訳がGoogle翻訳と同じミスである点はご愛敬としても、オフラインの訳の間違い方には興味深い点があります。それは、最後の一文が大部分削られ、一部が「the old era is ending」と混ざっている点です

「The old era is ending」はどこからどう見ても肯定文です。オフラインの訳文のように「終わらない」という否定文になる要素はどこにもありません。この否定文の要素がどこから来たのかと考えると、おそらく直後にある一文の「will not do」という部分。大胆な改変ですが、結果として意味は大きくねじ曲がってしまっています。

インターネット接続がなくても、オンラインでの利用時とほとんど精度は変わらないといううたい文句のMicrosoft翻訳。原文の意味を読み取れた場所に関しては訳文の質はほぼ同じですが、どうも訳文の読み取りについては無視できない差が存在するようです

日本語の表現力ではGoogle翻訳の優位は歴然ですが、それでも内容を読み取るだけなら十分な完成度です。これだけの機械翻訳をインターネット不要で使えるのであれば、活用シーンの幅広さを武器に新たなニッチを開拓していけるのかもしれません。

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