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「タイムアタック」の英訳2通り、どこまで訳し分けられる?

性能は高くともまだまだ人間並みとはいかない、細かいニュアンスがそぎ落とされると言われるGoogle翻訳でも、英訳をする際の外来語やカタカナ語の訳は基本的に外さないもの。

言ってみれば英単語をそのままカタカナ読みしているだけだから当然のこと。しかし和製英語が入り込むと、話はとたんにややこしくなります

今回は「タイムアタック」の英訳を例に、和製英語が絡むGoogle翻訳の事例を見てみましょう。

「タイムアタック」の意味

「タイムアタック」とはモータースポーツなどでよく聞く言葉です。基本的にはコース周回のタイムを競う競技のことを指しますが、これに対応する英語表現は実は2種類あって、「Time Attack」と「Speedrun」に分けられるのです。

どちらの表現が使われるかは文脈で決まっており、おおまかにモータースポーツの文脈かゲームの文脈かで分かれてきます

「Time Attack」が使われるのはもっぱらモータースポーツの文脈。これは昔から使われている言葉で、コースの周回タイムで順位を決める予選競技などがタイムアタックと呼称されます。

「Speedrun」が使われるのはゲームの文脈。ゲームの全体あるいは1ステージをどれだけ早くクリアできるかという、いわば早解きを指して使われる言葉です。

もう少し厳密に言うと、ゲームでも「Time Attack」が使われる場合があります。それはレースゲームなどで、ゲーム自体にタイムを計測して競う専用のモードがある場合。こうしたモードは「time attack」と呼ばれる一方、本来的にタイムを競うモードがないゲームで早解きをすることは「Speedrun」であるというような使い分けがなされます。

ゲームの文脈で使われるタイムアタックという用語は、モータースポーツに由来して呼ばれるようになった和製英語とされています。

英語で言う「Speedrun」は、元々『Doom』というゲームのクリアタイムを競うオンラインコミュニティから広まって定着した遊び方とのことで、もとを辿ればその発祥地で使われていた独自の用語だったのかもしれません

Google翻訳の翻訳例

Google翻訳を使って英訳すると、「タイムアタック」はほぼ全て「Time Attack」という英語表現に結びつけられてしまいます。

文中にモータースポーツ用語が入っていてもゲーム用語が入っていても、文脈を読み取って適切な語を選んでくれるということはなく、判でついたような「Time Attack」の嵐。

アーケード版にタイムが付いていたのはタイムアタックをして遊ぶ為ではなく、初代『ドンキーコング』では絶対に敵にやられない場所があり、ゲームセンターでそこにマリオを置いたままだと機械がずっと動き続ける事になるため、時間が来るとゲームオーバーになる仕様にしていた。
The time that was attached to the arcade version is not for playing with a time attack but for the first “Donkey Kong” there is a place that can not be hit by the enemy absolutely, and the machine keeps moving as it keeps Mario there at the game center Because it will be continued, specifications were made to become game over when time comes.

GTカーでの初レース、しかも予定外のタイムアタックながら、小林は見事ポールポジションを獲得したことで注目を浴びた。
Kobayashi got a lot of attention as he got a brilliant pole position while his first race in the GT car, and also unexpected time attack.

どうやらGoogle翻訳はゲームコミュニティの用語にはまだ疎いようす。

日本語の「スピードラン」を含む文章を英訳させると、訳語は「speed run」になります。ここからは「スピード」と「ラン」を個別の英単語として訳したことがうかがえます。

「スピードラン」単体だと「Speedrun」という名詞になりますが、これはあくまでユーザーが修正した結果。学習データ自体には「スピードラン」を含むコーパスが使われなかったのか、文章になるとお手上げのようです。

まとめ

ここで見てきたように、文脈によって「タイムアタック」に対応する英単語は2種類あるにもかかわらず、Google翻訳はその訳し分けには対応していないことがわかります。

ただ、現実はある意味もっとややこしい様相を呈しています。

それは「Real Time Attack」(RTA)という言葉が英語圏に浸透しているということ。

この用語はゲーム内時間のタイムではなく、ゲームの電源を入れてからの実時間でタイムを計測するスピードラン競技を指して使われます。ゲーム内時間での計測だと、例えばロード時間などでタイマーが止まってしまう場合があるのですが、RTAだとゲーム内タイマーが止まる間もタイム計測は続くのです。

この用語はもともと日本で作られた言葉で、「Speedrun」の意味で「Time Attack」が使われています。ところがこの用語は現在WiktionaryやUrban Dictionaryにも収録されるなど、英語圏のゲームコミュニティ内にも定着しているのです。なんともあやふやなことですが。

このことを考えると、いつの日か用語を「Time Attack」か「Speedrun」に統一しようという議論が出てきても不思議ではありません。

そうなった場合スピードランという言葉がタイムアタックにまとめられるのか、あるいはRTAが「Real-time Speedrun」になるのか。どちらになるのでしょうか。

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