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新華社通信読解:「スクールシェフ」のおかしな誤訳

体の寝起きが遅いのか朝目が覚めても食欲がなく、昼手前に腹が空いてきて面倒なので外食――。

大学あたりの頃の自堕落な振る舞いを思い返すと早晩体を壊しそうな暮らしだったなとしみじみ。食べないと頭も体も動かないと切に感じる年になっても、どうしても面倒だと思うタイミングはあるもので、近所に安い食堂でもあればなと思うことしきり。

今回読んでいく新華社通信の記事は、まさにそんな食事の話。中国各地の小中学校の食の安全を確保するため、生徒の食事に校長が同席するという取り組みが注目されているという話です。

記事本文

元の記事ページは画像もない簡素なページ。大した扱いではないのでしょうか。ページ下には恒例の「いいね」ボタン。

Google翻訳で日本語に訳し、

要約したのが以下のパラグラフ

学校給食の食の安全を推進するため、校長が生徒と一緒の食堂で同じ食事を取る「陪餐制」を導入しようという動きに進展があった。学校での食事の品質改善、そして生徒とその両親の安心感を生み出すことにつながる。このシステムに加え、最終的には学校の食堂の管理や外部の監査も含める必要がある。

大まかなところは読み取れましたが、それでも元の記事をスムーズに読めたとは言えません。

特に難解だったのが最後のパラグラフ

倍餐制に続く今後のシステム整備について語っているようなのですが、どうにも難解……というか意味不明な文章が並ぶ和訳であり、正直なところ要旨をつかめずじまいでした。
もっと中国語に堪能であればあるいは、このように読みづらい訳になった分析もできるのかもしれません。
しかしそこまではできないので、読む中で特に気になったポイント2点をもうちょっと掘り下げてみます。

切实做好

これは和訳文の中で「よい仕事をすること」と訳されています。記事の一文目に不可解なものをぶつけてきて心を折に来る系の誤訳ですね。

これは教育委員会発表の「2019年の学校の食品安全管理における良い仕事をすることに関する通知」というタイトルの通知の一部です。

辞書を引くとこの文節は「切实」と「做好」とで区切られるもよう。

そして切实が「真剣である」「実現可能である」做好は「うまくやりおおせる」あるいは「完了する」という意味。

うーんわからん。

最初はベストプラクティスみたいな意味かと思ったのですが、個別の単語の意味を見るとどうも違うような印象です。

無理矢理それっぽい言葉をこさえてみると、「現実的な実施要項」というようになるのでしょうか。

なんというか、完了のための実際的な方策みたいな……実施要項ぐらいに理解しておくといいのかなあ……?

中国語の読書量も勉強も足りていない現状では、これ以上わかりようがありません。

どなたかご存じの方がおられれば、ご教授いただきたい次第。

最終パラグラフの一文

次は魔の最終パラグラフ。何を言っているのか掴めずに終わった部分から、まだかろうじて読み解けそうな一文を抜粋してみます。

例如,一些地方探索实行学生家长监管“校厨”制度,这既是对家长的信任,也实现了学校管理与社会监督的有效对接。
たとえば、保護者による監督のための「学校間」システムの導入を検討している場所もあります。これは、保護者に対する信頼であり、学校経営と社会的監督の間の効果的なインターフェースでもあります。

この文章でまずわからないのは「学校間」システムなる単語。原文で対応するのはきっと” ”で囲われた「校厨」なる単語でしょう。

手始めにとこれだけを英訳させると出てきたのは「school chef」。これはつまり学校の料理人ということ。どうして「学校間」になるのか不可解すぎる誤訳です。

この手前の文節も掘り下げてみましょう。

辞書を引くと「学生家长」は「学生の保護者」「监管」は「監督」という意味のよう。するとこの一連の流れは「学生の保護者が監督する『スクールシェフ』制度」だと読めます。

ここまで読めても、まだ「スクールシェフ」が何者かはわかりません。学校で何らかの調理をしている人とはわかるのですが、果たして給食センターのような形態なのか、はたまた食堂の料理人みたいなシステムなのか、ここは中国の学校制度についての知識がないとわからないところです。

そして保護者がどのように監督するのか、これも読んだだけでは掴めません。生徒の保護者が一体どれほど学校のことに関与してくるのか、スクールシェフの監督に実際に保護者がやってくるのか、どれほどの頻度で監督できるのか等等…………。

「読める」ものが必ずしも「わかる」わけでないというのは、外国語や翻訳に携わっていると強く感じることと思います。

突き詰めると外国語を理解するということは、言葉だけでなく文化や社会などのバックグラウンドを理解することだというのが身にしみる心地。

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