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「出る」がいつでも「go out」とは翻訳できない理由

「出る」という言葉を英訳する場合、真っ先に考えつくのは「emerge」や「come out」という訳語。

では「病人が出た」の「出た」には、そうした言葉を直接当てはめてもよいものでしょうか?

このような場合の「出た」をGoogle翻訳フレンドリーに書き直すにはどうすればいいか、この記事で一例を見てみましょう。

今回の原文は今すぐ使える英語メール文例集より、以下の例文。

このたび弊社の営業部に欠員が出ましたので、下記要領で契約社員を募集致します。
応募資格は義務教育終了以上。学歴よりもユニークな人材を求めています。外資系という風土のためどうしても人間関係がドライになりがちですがどちらかというと熱血漢の熱い人材を求めます。

これをGoogle翻訳に英訳させたものが以下の文章。

Since the vacancy of our sales department has come out, we are looking for contract employees as follows.
Entry qualification is over than compulsory education end. We are seeking unique talent rather than academic background. Because of the climate of a foreign capital it is absolutely prone to human relations, but if anything, I am looking for a hot person with a hot blood.

出典ページの対訳文も参考にしながら、訳文のポイントを見ていきましょう。

出ましたので

Google翻訳が出した訳語は「come out」という語。これは物理的に何かが出現する、あるいは映画や書籍などの作品が世に出る、というような場合に使われるもので、元々なかったものが新たに現れる、という感覚に近いものです。

この表現を解きほぐすと「欠員というものが現れた」ということではなく、「人員の足りない状態に陥った」とことを表していると言えます。訳語のうち、「vacancy」という語は「欠員」を表す語なのでそのまま使えます。なのであとは、「come out」以外の言葉が出てくるよう訳させたいところ。

一例として「弊社は営業部に欠員を持っていますので」という入力が考えられます。日本語の文章としては不自然ながら、これで「Since we have vacancies in the sales department」という訳語が出力されます。「vacancies in the sales department」で「営業部の欠員」。そして「欠員を持っていますので」という形にしたことで、文の構成も英語の表現として自然な「we have~」という形になっています

気になるのは「vacancies」と複数形になっていること。日本語では特に何人募集するかという記載はないのですが、出典ページの英語対訳を見ると欠員は1名となっています。なので、「a vacancy」と単数にしたいところ。

これは「一名欠員」と入力することで「one vacancy」と単数形で出力されるので、こうするのが一つの手段として考えられます。「one」と言うよりは「a vacancy」の方が自然な書き方なのですが、今のところ思い当たる方法はこれだけです。

単数形と複数形という発想は、日本語では英語ほど強調されません。その上で、いかにGoogle翻訳に訳し分けさせるか、という工夫が必要になります。

終了以上

ここの訳語は「over than」という妙な訳。「over(終了)」と「than(以上)」という直訳なのだと考えられますが、いまひとつ意味のわかりづらい訳です。

これを英語で言うにはどのような言い方があるでしょうか。

ひとつ考えつくのは「an applicant must be a graduate of junior high school or higher」。これは「応募者は中学校かそれ以上の卒業者でなければなりません。」という日本語文を英訳させたもので、この文面をそのまま入力すれば上記の英訳が出力されます。

「義務教育」を「中学校かそれ以上(の学校)」と具体的な表現に直し、「終了以上」と体言止めになっている構文を「卒業者でなければなりません」という、英語で「must」が使われる表現に書き換えたものです。

風土のため

「風土」という言葉がそのまま「climate」と訳されてしまっています。これは本来比喩なのですが、逐語訳されてしまうとただの変な表現になってしまいます

適切な訳文を出力させるには、「風土」という比喩を解きほぐす必要があるでしょう。

ここで言いたいことは、「場所柄このような傾向がある」というようなことだと考えていいでしょう。するとこの部分は、「外資系企業では人間関係がドライになりがちな傾向にあります」と書き換えることができます。この文章をGoogle翻訳に訳させると「Human relations tend to be dry in foreign-affiliated companies」という訳文ができあがり、かなり自然な形の文章に近づきました。

あと一点気になるのは「ドライ」という言葉。これをそのまま訳させた「dry」という単語は、人間関係のあり方を示す言葉としては少し不自然かもしれません。特に人間関係について、一線を引いた、あるいはよそよそしい、と言いたい時は、一例として「formal」という単語が使えるでしょう

上述の日本語文の「ドライ」を「フォーマル」に置き換えることで、より自然になるかと思われます。

熱血漢の熱い人材

この部分の訳語は「hot person with a hot blood」。「hot」という単語が2度使われています。「hot blood」だけで「熱血、激情家」という意味になるので、「person of hot blood」あるいは「person with hot blood」で「熱血漢」という表現になります。どうにか「hot」を一つだけにしたいところ。

ここでは「熱血」と「熱い(人材)」の両方が「hot」として訳されています。なので原文から「熱い」を抜いてみると「I seek talent from a hot-blooded man.」という訳語に。これは「熱血漢からの才能を求めます」というような意味になり、少しずれている気がします。一例ですが、「we seek a personnel with hot blood」や「we are looking for a hot-blooded personnel」というような文章になるのが望ましいでしょう。

「私たちは熱血の人員を探しています。」という入力で後者の表現が出てくるので、これが使えるでしょう。

この箇所は、上記の企業風土について書かれた部分と同一の文章内にあります。文面が変わると訳語が変わる場合もあるので、つなげた上で訳させてみましょう。

外資系企業では人間関係がフォーマルになりがちな傾向にありますがどちらかといえば私たちは熱血の人員を探しています。

この原文には「In a foreign-affiliated company, human relationship tends to be formal, but if anything we are looking for hot-blooded personnel.」という訳語が対応します。これなら原文のメッセージがすべて的確に含まれているので、使える訳になっているはず。

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