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Google翻訳に「夏バテ」をわからせるためには?

関東甲信越では早くも梅雨が明け、夏の暑さが本格化の兆しを見せています。

これからの時期気をつけたいのは熱中症と夏バテ。暑さによる体力低下は日本だけで起こるわけではないはずですが、「夏バテ」という言葉の英訳は、Google翻訳が手を焼くトピックのようです。

そもそも、夏バテは英語でどう表現するべきでしょう。

ikipediaの「夏バテ」の項目の英語版では、次のような単語が当てられています。

Heat illness

heat-related illness

しかしこの2つはどちらかといえば、短時間で急激な高温にさらされた結果起こる症状全般を指す言葉です。日本語で言えば熱中症のニュアンスに近いでしょう。

いわゆる夏バテは、暑さによる食欲不振の結果起こる体力低下、あるいは冷房の効いた室内と暑い屋外の温度差を原因とする自律神経の失調を指すものです。英語でそのニュアンスを伝えるためには、次のような表現が適切でしょう。

summer weariness

summer heat fatigue

出典: weblio

夏の間に体力が落ちるということを表すためにはSummer fatigue(夏疲労)という表現がしっくりくると思われます。

さて、Google翻訳は「夏バテ」をどう訳していくのでしょうか。以下から訳を見ていきましょう。

1文目

原文 :毎年、暑い時期になると悩まされる夏バテ。「食欲がなくなる」「体がだるい」「疲れがたまる」といった体調不良が深刻な人も少なくありません。では、どういった場合に夏バテになるのでしょうか。

出典: オムロン健康コラム

Google翻訳文: Every summer, it is bothersome when it is hot. There are also many people with serious problems such as “lack of appetite”, “heavy body” and “get tired”. Then, in what case will it become summer bat?

ここでは最初に出てくる「夏バテ」は省略されてしまい、「毎年夏になると熱さに悩まされる」というような文章に変換されています。

問題はここからです。

最後の文章にも「夏バテ」が出てくるのですが、そちらの訳語は「summer bat」。これでは「夏のコウモリ」なので、暑さや体調の話を無視していきなりコウモリの話が始まっています。

Google翻訳は翻訳前の単語と翻訳後の単語を、音が似ていることを基準に一致させることがちょくちょく起こります。特に日英翻訳をさせた場合は頻発する現象で、カタカナで書かれている単語があればここぞとばかり、単語の意味ではなく音が近いかどうかを基準に翻訳をしてくれます

「Summer bat」もその一例でしょう。「バテ」と「bat(バット)」は意味の上で何のつながりもありませんが、音が似ていることから英語をカタカナ表記したものと判断されたものと思われます。

2文目

原文: お盆を過ぎた頃になると、胃腸の調子が低下し、何となくカラダがだるい、やる気が湧かない日々が続くことがあります。夏バテです。 一般的には、高温多湿な気候が続いたときに起こる体調不良の総称を夏バテと呼びますが、夏バテを予防するには、実は夏の間の脱水ケアが大切。

出典: 教えて!「かくれ脱水」委員会

Google翻訳: When it is past the Bon festival, the condition of the gastrointestinal tract decreases, somehow the body is heavy, days when motivation continues may be continued. It is summer bate. Generally, the generic name of poor physical condition that occurs when the high temperature and humid climate continues is called summer bat, but in order to prevent summer bate, dehydration care during summer is important.

この文章にも1文目と同じ、音を基準に単語をマッチさせたパターンの誤訳が見られます。

1度目の「夏バテ」は「Summer bate」、2度目の「夏バテ」は「Summer bat」とそれぞれ訳されています。

奇遇にも「Summer bat」は最初の文章と同じですが、「Summer bate」は少し変化球が来たといったところでしょう。

これも発音を基準に訳したパターンですが、「Summer bate」という訳は少し注目してもいいかもしれません。「bate」という単語には自動詞として「減る・弱まる」という意味があるからです。

とはいえこれは古い表現で、そこを考えると、単語の意味まで計算して訳したとは少し考えにくいでしょう。意味まで汲んだ訳ならばこれは「夏場に弱る」ことだと解釈でき、当を得た表現だと手放しに褒められたのですが。

3文目

原文: 夏バテに悩まされる人にとって、本格的な夏の到来は、夏バテの到来といっても過言ではないでしょう。ただし、ひとことで夏バテといっても、からだ全体が重く感じる、何も食べる気がしない、疲れがなかなかとれないなど、症状は人それぞれです。

出典: 大鵬薬品HP

Google翻訳: For those suffering from summer bathes, it is no exaggeration to say that the coming of full-blown summer is the arrival of summer bate. However, even by saying summer battle for a while, the whole body feels heavy, I do not feel like eating anything, I can not get tired easily, the symptoms are different for each person.

この文章にはこれまでよりバリエーション豊かな「夏バテ」の訳語が見られます

まず見つかるのは「Summer bathes」。「bathes」は「入浴する」という同志に3人称単数現在形を表す「s」がついたものです。これは単語の置き換えを間違えたというだけでなく、「夏バテ」という名詞が「夏が入浴する」という主語動詞文にすり替わっている点で、他のものより一段上の誤訳。

この文章で2度目の「夏バテ」はこれまででもおなじみ「summer bate」ですが、最後に来たのは予想外の「summer battle」。明らかに「夏バテ」の訳語とするには無理があるのですが、夏が来るたび茹で上がりそうな暑さと湿気に耐えなければならない日本の夏を考えると、あながち「battle」とするのも間違いではないと思えてきます。

誤訳もここまで来ると、エスプリの利いた言葉選びが楽しくなってきます。

このようにGoogle翻訳が「夏バテ」を的確に訳してくれる確率は非常に低くなってしまっています。

「夏バテ」のニュアンスを伝えられる英語表現を出したい場合は、「夏の暑さ疲労」と書き換えたほうが無難でしょう。こう入力すれば冒頭に書いたような「summer heat fatigue」という表現に訳してくれます。

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