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「no less than」のGoogle翻訳は印象の違いが解釈ミスを生む

今回フォーカスするのは「no less than」。意味は「~に劣らず」や「~ほども(多くの)」というイディオムです。

用法としては、2つのものの数量や程度を比較して互いに劣らないことを示す、あるいは数量が大きいことを強調して表現するために使われます。

My daughter is no less talkative than my wife is
私の娘は妻に負けず劣らずおしゃべりだ。(比較の用法)

He has no less than twelve brothers and sisters
あの人は 12 人も兄弟がある(強調の用法)

意味さえわかればなあんだという程度のもので、取り立てて解釈が難しい表現でもないもの(他のイディオムと混同しがちな点は置いといて)。

ただしこの表現、Google翻訳にとっては少し難しい表現のようで、訳語からは上記のニュアンスの大部分がそぎ落とされてしまい、ともすれば誤訳にもつながりかねない訳文を出してしまうのです。

「no less than」のGoogle翻訳

「no less than」をGoogle翻訳で和訳させた場合、大部分は「~以上」と訳されます。

It is a crime no less than burning the Mona Lisa, for there is always just one of each.
モナリザを燃やすこと以上の犯罪である。なぜなら、常にそれぞれの一つがあるからだ。

ところが先ほどの意味を踏まえると、これは「モナリザを燃やすことにも劣らない罪である」という、「~に劣らない」という訳語の方が適切でしょう。

あくまで「劣らない」のであれば必ずしも程度が上回ることはない、そう考えると「~以上」とは少し語弊がある訳語です。

やっかいなのは十中八九「~以上」の訳が出てくること。「~に劣らず」にしておかないと誤解を招きうる文章でも問答無用でこの訳語を使ってくれます。

This I know, that between finite and infinite there is no comparison; so that the difference between God and the greatest and most excellent created thing is no less than the difference between God and the least created thing.
これは私が知っていることです。有限と無限との間には比較がありません。 神と最も優れた最も優れた創造物との違いは、神と創造されていないものとの違い以上である。

これなどはその例で、一番優れたものと一番劣ったもの(この文節でもGoogle翻訳は誤訳あり)のそれぞれを神を比較しても、両者と神の差は全く変わることがないということを言いたいのが全く別の意味になっています。

「劣っていない」ことと「~以上である」ことは、数量や程度の多寡だけを考えれば同じ意味であるとも言えるでしょう。ただ、両者の言葉の印象は天と地ほども違うもの。ここいらの機微の読み取り方が甘いことを見落としていると、とんでもない解釈間違いにつながるので気をつけましょう。

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