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「企業のハシゴを登る」とは?出世の比喩を訳しきれなかったGoogle翻訳

ワークライフバランスの話は日本で度々取り沙汰されています。出世や仕事の優先順位をどの程度に設定し、人生全体とのバランスをどう取っていくかは、誰にとっても難しい課題です。

「出世」を意味する英語の成句に、出世をハシゴに喩えた表現があります。しかし今回のGoogle翻訳は、その意味を掴みかねた様子。休みなく働きづめのGoogle翻訳は、今回の原文に思うところはあったのでしょうか。

今回の原文はゴガクルより、次の英文です

Many managers are keen to attract ambitious people who want to move up the corporate ladder―but at the same time not ruin their lives by letting their work take over.

Google翻訳の訳文は以下の通り。

多くのマネージャーは企業の梯子を上げたい野心的な人々を引き付けることに熱心ですが、同時に仕事を引き継ぐことで生活を傷つけることはありません。

それでは、訳文のポイントを見ていきましょう。

Move up the corporate ladder

訳文では「企業の梯子を上げたい」となっています。注意すべきは「move up」という成句の訳。「move up the ladder」という表現で「はしごを上る」あるいは比喩的に「出世の階段を上る」という意味となります。

この文では「corporate」という語が間に挟まっていますが、意味するところは変わりません。一例として「会社内で出世する」という訳が挙げられるでしょうか。

Not ruin their lives

「生活を傷つけることはありません」と訳されているこの箇所は、もう少し工夫が必要です。原文にある「their」のニュアンスがなくなっていることに注意してください。いったい誰が、誰の人生を台なしにする(ruin)のか、非常に不明瞭な文面になっています。

この文章の場合、動作の主語は「managers」だと考えられるでしょう。実際のところは「managers」なのか「ambitious people」なのかはかなり微妙なところですが、「ruin」の主語が「ambitious people」であると仮定して考えてみましょう。その場合文意としては「出世はしたいけど、同時に仕事に追われて自分の人生を台なしにしたくない人たち」というようになります。この場合であれば、原文は「自分の人生」という点を示す「their own lives」という表現になっているはずです。

しかし原文は単に「their lives」と、まるで他人の人生を指しているような言い方をしています。ということは、「manager」が「ambitious people」の人生を台なしにする(ruin)と解釈するのが妥当でしょう。

By letting their work take over

「仕事を引き継ぐことで」となっているこの訳文は、明らかな誤訳です。「let ~ do…」で「~に…をさせる」という意味になるので、「take over」という動詞の主語は「work」になるはず。その上で、この部分の解釈を考えてみましょう。

「take over」という表現には、自動詞として「義務や責任を引き継ぐ」あるいは「優位になる」という意味があります。この原文の場合、目的語を取らずに文が終わっているので自動詞として使われているはず。なのでGoogle翻訳は前者の意味を拾って「引き継ぐ」という訳語を出力したのでしょう。

しかし、仕事が「引き継ぐ」ことで人生が台なしになる、という文章ははっきり言ってわけがわかりません。わかりやすい表現を組み立てるには、文全体の大意を掴む必要が出てきます。

この文で語られるのはワークライフバランスの話です。経営者(manager)は出世に意欲的な人を求めているが、同時に仕事が「take over」してしまうことで人生を台なしにしてほしくはないということが語られています。このように俯瞰すると、ここでいう「take over」の意味は「引き継ぐ」よりも「優位になる」の方が文脈に沿っているように思えます。

この解釈のもとで訳し直すと、「仕事が優位になる(=人生の大部分を占めてしまう)ことで、人生を台なしにしてほしくはない(と、経営者は望んでいる)」という文章になるでしょうか。あくまで一例なので、他にも適切な訳は考えられます。出典ページの対訳も併せてご覧下さい。

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