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「あて」の誤訳をどう直すか?Google翻訳をあてにするための工夫

行くアテがある、アテにしている等々、日頃なんとなく使う機会のある「あて」という言葉。実は、どういうことを言っているのかうまく補ってやらないと、Google翻訳でうまく訳されない時があります。

どのような間違え方をされるのか、それを回避するにはどうしたらいいのか、今回の記事ではそれを探ってみましょう。

今回の原文は、PHP文庫『そのまま使える! ビジネスメール英文集』より、こちらの文章。

納入する予定だった会社が倒産したため、注文を取り消させていただきたく存じます。

ご注文した以上、本来ならば弊社が引き取るべきだとは思いますが、納入するあてもありませんので、どうかご寛容な対応をしていただければと思います。

これは商品の発注先に向けて、買った商品を売る予定だった会社が倒産したので注文をキャンセルしたいという旨を伝えるメール文の一部です。

Google翻訳で英訳するとこのようになります。

Because the company that was planned to be delivered went bankrupt, I would like to cancel the order.

I think that we should take over if we ordered more than you ordered, but we do not have the right to deliver it, so I hope you will be tolerant.

出典の本には英語の対訳も載っているので、それも参考にしつつ、訳文を見ていきましょう。

納入する予定だった会社

Google翻訳の訳は「The company that was planned to be delivered」。

気になるのは「planned」という点。「予定だった」あるいは「計画していた」という意味なので字義は合っているように思えます。しかしここで「計画」していたのは、会社ではなく「私たち」のはず。「plan」という単語を使うのであれば、「company that was」という形ではなく、「company to which we planned to make delivery」のような形にするのが望ましいでしょう。

「plan」という動詞は能動態で使う場合がほとんどです。受動態で使われる場合は多くの場合「it is planned that~」という形で使われ、「that」以降でどのような計画になっているのかが記述されます。この文のように「~する予定だった」と言いたい場合は、「plan」の他に「be supposed to(~するはずだった)」という表現も使えます。

ご注文した以上

ここの箇所は「if we ordered more than you ordered」となっていますが、明らかに間違いだということがわかります。本来は「一度注文を出したからには」と言っているところ、英訳文では「そちらが注文した以上の量をこちらが注文したのであれば」となっているからです。

これを踏まえて、本来の意図通りの英訳文を出力するにはどうすればよいでしょうか。

ここで言いたいことは、「注文がすでに行われたから(弊社が引き取るべきだ)」という因果関係の説明です。なので、英文で「because」が出力されるような日本語にするのが一つの方法でしょう。さらに、原文の2文目には「注文した以上弊社が引き取るべきだと思う」「納入先がないので寛容に対応してほしい」という2つのメッセージが含められているので、それぞれを独立した文に切り分けると訳させやすくなるでしょう。

すると、「注文がすでに確定しているので、弊社が注文した品を受け取るべきだと承知しています」のような例が考えられるでしょう。すると「We are aware that we should receive this order because the order has already been confirmed.」という訳文が出力され、ここで語られるべきメッセージが伝わります。

後半の「納入先がないので寛容に対応してほしい」というメッセージは、次以降の段落で見ていきましょう。

納入するあて

ここの訳語は「we do not have the right to deliver it」となっています。これは「弊社に納入をする権利がありません」と言っている文章で、これも残念ながら誤訳。

ここで言いたいことは「商品の納入先がない」、もっと言えば「商品を売る相手の心当たりがない」ということです。「あて」という言葉がなぜ「right」と訳されたのかは不明ですが、この言葉を使うのは避けた方が賢明でしょう。

一例として、ストレートに「この商品を購入したいという会社」と入力するという手があります。すると「company that wants to purchase this product」という語が出力されます。言いたいことはこれで十分伝わるはず。

ご寛容な対応をしていただければと思います

Google翻訳では「I hope you will be tolerant」となっているこの箇所。出典となった書籍の対訳例を見ると「We would appreciate it if you handle this matter graciously/kindly(本件について寛大に対応して頂けるとありがたく存じます)」という表現になっています。

Google翻訳の訳文では相手方に寛容に振る舞うことを願う表現に、対訳ではこの一件の対処に関して寛大さを求める表現になっており、ごく微妙ですが違いが見て取れます。ここでは対訳に倣い、「この一件への対応」というニュアンスまで含めた訳文の出力を目指しましょう。

一例としては、やはりストレートに、「本件の対応を親切にして頂ければありがたいです」と入力する手があります。こうすれば「I would appreciate it if you can kindly handle this case」という訳語となり、書籍の対訳にかなり近い形になります。日本語としては不自然ですが、書籍の対訳表現を手本とするならば、こうすると望みの英文がすんなり出力できます。

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