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「大丈夫」を表す「I’m cool」、大丈夫じゃないGoogle翻訳

英語の口語表現に「I’m cool」という表現があります。これは「自分はクールだ!」と自慢しているのではなく「自分は大丈夫です」と言いたい時の表現。

Google翻訳は学習データの都合もあるのか、最近の口語表現には対応できない場合がよく見られますが、果たしてこの表現はどうなのか?

「大丈夫」の意味で「I’m cool」が使われている文章を複数訳させてみて、それぞれの訳語をチェックしてみました。

1文目

Lisa: Are you nervous about that speech tonight?

Dave: No, I’m cool.

Lisa: You’re cool?

Dave: Yeah, I’m fine. I’m cool. I’m just… I’m, you know… chillin’.

Lisa: Well, word to your mother.

リサ:あなたは今夜そのスピーチについて緊張していますか?

Dave:いいえ、私は冷静です。

リサ:あなたはクールですか?

デイブ:うん、いいよ。 私はクールだ。 私はちょうど…私は、あなた知っている…チリ ‘。

リサ:まあ、あなたのお母さんに言葉。

出展: Wikiquote

これは、スピーチを控えた人を心配して気分を伺うという会話。緊張しているかどうか尋ねられたデイブが「No, I’m cool」と答えています。

この会話文には「I’m cool」が3回出てきますが、訳語にはすこしばらつきがあるのがわかるでしょうか。ここでは「Are you nervous about~(緊張していますか?)」と尋ねられた直後の訳だけが「私は冷静です」となっています

この会話に出てくる「I’m cool」は終始一貫して「大丈夫だよ、心配ないよ」の意味で使われています。「緊張しているか」と尋ねられて「私は冷静です」と回答するのであれば、緊張していない、気分は落ち着いていると返したようなもの。なので、やや婉曲的ではあれどもギリギリで「大丈夫だ」と返したと言えるでしょう。

ただ、これ以降の訳は揃って残念な結果に。続けて出てくる「cool」の訳語はいずれも「クール」で固定されてしまっています。いきなり「自分はクールだ」などと言っているのでは、文脈に沿っているとは言えません。

最初のひとつだけが「クールであるかどうか」ではなく気分を表す単語に訳されているのは、直前に出てきた「nervous」という単語の影響があるのではないかと思われます。この一往復のやりとりだけなら及第点の訳ができていたのですが、「nervous」であるかどうかという話がこの後も続いているということまでは読み取れなかった様子。

「nervous」であるかどうか、ひいては心理的にどのような状態であるかがこの対話文全体の肝です。この「nervous」の意味を重視して全体の「cool」の訳語を調節する、という機能まではGoogle翻訳にはないらしいことが読み取れます

2文目

Nick: [to Warrick] Hey.

Warrick: Oh, man, you look beat up.

Nick: I feel beat up.

Warrick: Why don’t you … uh … take a break. I got this.

Nick: No, no, I’m cool. I can push through it.

ニック:[ウォーリックへ]ねえ。

ウォーリック:ああ、あなたは殴られて見える。

ニック:私はビートアップを感じる。

ウォーリック:どうして…ええ、休みを取らないの? 私はこれを得た。

ニック:いいえ、いいえ、私はクールです。 私はそれを貫くことができます。

出展: Wikiquote

前の文脈がわからないから何があったかはわかりませんが、これは精神的に打ちのめされた(feel beat up)人に少し休みを取るよう(take a break)促す場面。その返事として「No, I’m cool」が登場しています。

先ほどと同じく相手を気遣う文脈の中で出てきたにもかかわらず、こちらの訳は「私はクールです」になってしまっています。当然、伝えたいニュアンスはこれではありません。

もっともここの訳について言えば、さっきの文章でうまく出力された「私は冷静です」であっても微妙に噛み合わない会話になってしまうでしょう。ここは口語表現の通り「大丈夫だよ」となってほしいところ。いずれにしてもここのニュアンスはGoogle翻訳では対応しかねる様子です。

3文目

“You’re not flying back tonight, are you?” Mike asked.

“Sure I am,” John said.

“Dude, really,” Mike said. “You oughta spend the night and fly back tomorrow.”

“No, I’m cool”, John said.

After Camelot: A Personal

「今夜は戻ってきませんか?」とマイクは尋ねました。

“確かに私は、”ジョンは言った。

「おい、本当に、」マイクは言った。 “あなたは夜を過ごして明日に帰るべきです。”

“いいえ、私は冷静です”、ジョンは言った。

出展: ”After Camelot: A Personal History of the Kennedy Family–1968 to the Present ”

これは、これから飛行機を飛ばして戻ると言った人に対して「延期したほうがいい」からの「I’m cool」という場面です。

この会話の直前に、インディアナの空は荒れがちであることが言及されています。おそらくジョンはインディアナ上空を飛行するのでしょう。なのでマイクは危険だと警告しているのです。

ここの「I’m cool」もやはり「大丈夫だよ」となるべき「cool」です。「私はクールだ」と言ってしまえば「自分はイカしてるんだから荒れた空を飛んだって大丈夫だ」と言わんばかり。鼻持ちならずトンチンカンな返答であり、これでは古臭いアクション映画のスカした2枚目か、でなければコメディの一幕です。

「私は冷静です」であってもやはりズレた返答でしょう。冷静だからどうだというのか。落ち着いているからって空の荒れ具合が今ここでわかるでもなし、「冷静に飛ばすから大丈夫」と伝えたくて言い放ったのであれば、格好つけようとして微妙にスベっているダメな決め台詞の一例に数えられることでしょう。

一番自然な返答は繰り返しますが「大丈夫だ」でしょう。多少荒れてもなんとかなると思って言ったにせよ、今日の空は穏やかだろうと当て推量で言ったにせよ、この場の返答としては必要十分です。

余談ながら「No, I’m cool」だけを訳させた場合、最後のピリオドの有無で「私は冷静です」と「私はクールです」が変わってきます

記事中で扱った文章はすべてピリオドつきですが、それでも両者の訳語が混在しています。このことから、何らかの形で前後の文脈を勘定に入れて訳語を選定しているのではないかと考えられますが、フレーズ単体での訳し分けのあやふやさ、そして「大丈夫だ」という訳語が出てきづらいことを見ると、「No, I’m cool」にはうまく対応できていないことがうかがえます。

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