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Google翻訳で和訳できるか? 政治の頻出英単語7つ

秋口に入る9月のアメリカは、現在中間選挙の真っ最中です。任期の折り返し地点となったトランプ政権。中間選挙では、物議を醸したその政治方針について国民の評価が下されます。

世界各国に対しても大きな影響力を持つアメリカ合衆国、その政治の一大イベントにちなんで、今回は政治関連の表現や単語を6つピックアップし、Google翻訳の訳文の出来を比べてみました。

Bipartisan

「bipartisan」とは「超党派の」「二大政党が提携しての」という意味。アメリカでは民主党と共和党が有力な政党として並び立ってきた歴史があり、両方の党が協調して何かを行う、あるいはその他の党が連合して何かを行うという場面でこの単語が使われます。

And she highlighted the bipartisan nature of the book party, which she said represented the real Washington.

そして、彼女は本物のワシントンを代表する本パーティーの超党派性を強調した。

出典

「bipartisan」を「超党派」、「nature」を「性」と訳し、超党派的な性質を持つ、というような意味の言葉にしています。「nature」は「自然」のほか、何かが持つ性質を指すときにも使われます

Graham wouldn’t say how the president responded, but he said that coming up with bipartisan support in the coming days “will matter to the president.”

グレアム大統領は、大統領の返答方法については言及しなかったが、来日中に超党派の支持を得ることは「大統領にとって重要だ」と述べた。

出典

これは「超党派」と訳せているので、意味の混乱はない様子です。ただし文章としては「党派の枠組みを超えた支持」とした方が自然かもしれません。

In reality most reforms worth that name are rarely uncontroversial and almost never bipartisan.

現実には、その名前に恥じないほとんどの改革はめったに議論の余地がなく、ほとんどの場合超党派ではありません。

出典

「bipartisan」が「超党派」と訳されていますが、「超党派ではありません」という文章は読んでわかるようなわからないような印象です。

この文章の前には、改革が望まれる現状で超党派の名のもと自分の望む主張をする人が現れる、という趣旨の一分がありました。

それに続いて、改革と呼べるような改革はほぼ必ず論争の引き金となり、また「bipartisan」であることはほぼない、ということをこの文章で言っています。

ここでは「超党派」というよりは「党の枠組みを超えて行われること(はほとんどない)」という言い方がよりわかりやすいと思います。

Campaign

Millions of voters turned out Wednesday despite intense heat and a campaign marked by rancor, terrorist attacks, accusations of military interference and the dramatic return of former prime minister Nawaz Sharif to serve a prison term for financial crimes.

暴動やテロ攻撃、軍事干渉の告発、金融犯罪の刑期を務めるナワズ・シャリフ元首相の劇的な復帰など、厳しい勢いとキャンペーンにもかかわらず、何百万人もの有権者が出た。

The polls were guarded by police, troops and paramilitary rangers after several attacks during the campaign killed more than 200 people.

この選挙では、キャンペーン中の数件の攻撃で200人以上が死亡した後、警察、軍隊、準軍事査察官が投票を守った。

出典

The election campaign has been wild: Mnangagwa survived an explosion at a campaign rally, and Chamisa lied about meeting Trump and had to apologize.

選挙運動は野生だった:Mnangagwaはキャンペーンラリーで爆発して生き残った。そしてChamisaはトランプに出会って嘘をつき、謝罪しなければならなかった。

出典

日本語では販促キャンペーンなど、商業活動と結びついた印象のある「campaign」という言葉ですが、英語では「選挙運動」や「戦闘、作戦」などの意味でも頻繁に使われます。

そうした意味を表している文章であれば、単に「キャンペーン」と訳すだけでは誤解が生じてしまいます

これらの例文はいずれも選挙に関連した文章ですが、ちゃんと選挙に結びつけて訳されている例は1つだけです。その部分も「選挙(election)」という単語が明示された上での訳なので、「campaign」単体では「選挙」という意味に結びつく訳語が出る確率は低そうです。

Delegate

A delegate is someone who attends or communicates the ideas of or acts on behalf of an organization at a meeting or conference between organizations, which may be at the same level or involved in a common field of work or interest.
デリゲートとは、団体間の会議や会議で組織のアイデアに出席したり、コミュニケーションを取ったりしている人であり、同じレベルであるか、共通の仕事や関心分野に関係している可能性があります。

Delegates attend the convention to represent their part of the organization.
代表者は組織の一部を代表するために大会に出席する。

A candidate for the Democratic nomination must win a majority of combined delegate votes at the Democratic National Convention.
民主党候補の候補者は、民主党全国大会において、多数の代表投票を勝ち取らなければならない。

出典

「delegate」とは「代表者」という意味。アメリカ大統領選挙は「〇〇党代表候補△△」というように、政党内部で党代表候補を決定し、各党の代表者が大統領の座を争うという形式で行われます。

これら3つの訳文を見るとおおむね「代表者」と訳されていますが、気にかかったのは最初の文章で出た「デリゲート」という訳語。これだけなぜかカタカナ語の訳語になっています

どうしてこのような訳語になったのかはわかりませんが、文章から最初の「A」を削除して訳させると「代理人」という訳語に変わりました

「代表者」という訳が出たもう2つの文章は定冠詞のない「delegates」でしたが、こちらの文章を「a delegate」に入れ替えても「デリゲート」という訳語は出てきません。

もしかすると、文章中の他の単語との関係もあるのかもしれません。誤訳と言うには微妙なラインですが読みづらい訳しかたであることに変わりはありません。

こういう原因不明の誤訳がなくなれば、機械翻訳をもっと安心して使えるのですが……。

Coattail effect

The “coattail effect” is not usually caused by a popular candidate convincing swing voters to cast their ballots for their party, although this is not unheard of.
コータテイル効果」は、普段は普及していない候補者でもありませんが、スウィート有権者が自分の投票に投票するよう説得しています。

However, it resulted in a “coattail effect” where unpopular and even unknown candidates are elected because they ran together with popular candidates (usually Ministers) on the same slate.
しかし、人気のある候補者(通常は閣僚)と同じスレートで一緒に走ったため、人気がなく、未知の候補者も選出される “コータテイル効果“が生じました。

出典

「Coattail effect」は日本語で「コートテール(便乗)現象」と訳される言葉

選挙の際にある候補者が人気を集めると、同じ政党に属する別の候補者も一緒に当選しやすくなるという現象を指します。名称の由来は男性のフロックコートの後ろ裾(tail)が長いことから来ているのだとか。

Google翻訳の訳文を見ると、「コータテイル効果」となっています。「t」が2つ並んでいるので発音の表記に苦慮した様子が見え隠れするようです。日本語ではあまり聞いたことがないからか、「コートテール現象」とは訳されないようです。

pundit

Josef Joffe’s book chapter The Decline of the Public Intellectual and the Rise of the Pundit describes a change in the role of public experts and relates to developments in the audience and the media itself.
Josef Joffeの本の章「知的人の衰退とその専門家の登場」は、公共の専門家の役割の変化を説明し、聴衆とメディア自体の発展に関係している。

At the same time, many people who appear as pundits are recognized for having serious academic and scholarly experience in the subject at hand.
同時に、専門家として現れる多くの人々は、手元にある主題において深刻な学術的および学術的経験を有すると認められている。

The judge in the David Westerfield trial in San Diego in 2002 referred to pundits as well as “talking heads”: “The talking heads are doing nothing but speculating about what the jury may or may not be thinking”.
2002年のサンディエゴでのDavid Westerfieldの裁判での裁判官は、専門家、そして “話している人”に言及した。 “話している人は何もしていないが、陪審が何を考えているかどうかを推測している。

出典

「pundit」とは「専門家」、特に公の場で自分の意見について発言することの多い人物を指す単語です。細かいニュアンスまで含めると、単に「専門家」とするよりも「コメンテーター」や、政治に関して言えば「政治評論家」という単語が当てはまるでしょうか。

Google翻訳の訳語は「専門家」となっており、基本的には「コメンテーター」のニュアンスはありません。Google翻訳で「コメンテーター」という訳語になるのは「commentator(評論家)」という単語です。

Swing vote

A swing vote is a vote that is seen as potentially going to any of a number of candidates in an election, or, in a two-party system, may go to either of the two dominant political parties.
スイング投票は、選挙で多数の候補者のいずれかに潜んでいると見られる投票であり、2者制では2つの支配的政党のいずれかに行く可能性がある投票です。

While the swing voter is ostensibly the target of most political activity during elections, in countries without compulsory voting the outcome is dependent on swing voters only to a limited extent.
スウィング有権者は、選挙で最も政治的な活動の対象となっているように見えるが、強制投票をしていない国では、スイング有権者に限られている。

On the Supreme Court of the United States, Associate Justices Potter Stewart, Byron White and Anthony Kennedy have been described as swing votes between the two factions of the court.
米国連邦最高裁判所では、ポワン・スチュワート副総裁、バイロン・ホワイト、アンソニー・ケネディ裁判所が裁判所の2つの派閥の間で揺れ投票として記述されている。

出典

「swing vote」とは日本語で「浮動票」のこと。選挙のニュースでは結構な頻度で出てくる言葉ですが、Google翻訳にはどうやらなじみのある言葉ではないようです。

訳語を見ると「スイング投票」、あるいは「swing voter(浮動票層)」の場合「スイング有権者」などと、全くの直訳で訳されています。

英語で「浮動票」を表すには他に「floating vote」という言葉もあります。こちらは単語の意味では日本語の「浮動票」に近い表現ですが、こちらを入力しても訳語は「浮動投票」となり、微妙に「浮動票」になってはくれません

どうなっているのだろうかと思い、日本語で「浮動票」と入力したところ、出てきた英訳は「floating slip」。この「slip」は「スリップする」ではなく、どうやら「伝票、メモ用紙」という意味で使われているようです。確かに日本語の「票」には「数量や要件を書き入れる紙片」や「小さな書き付け用紙」といった意味があるので、一応の筋は通っています。

これを見ると、「票」という単語をもっぱら選挙に関連させて考えていた自分の先入観の方が問題だったのでは、とまで思えてきます。

機械翻訳が対応できる言葉かそうでないかは、人間の常識とは大きくかけ離れています。浮動票のようによく聞く単語であってもうまく訳されないことがあっては、利用する上で信頼性に不安が残ってしまいます。

また「キャンペーン」のように、文脈で訳語が変わる単語は文脈を読み取り、それに沿った言葉を選びだすことが欠かせません。この点でもGoogle翻訳は融通が利かないと思っていいでしょう。

理屈の上では、データさえ潤沢にあれば分野別の訳語に対応できるニューラル機械翻訳が作れるはず。しかしそうしたものが登場し一般に普及するにはもう少し時間がかかりそうです。

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