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「受ける」の意味を細かく説明できないと誤訳のもと

Google翻訳が対応しづらい言葉をこれまでいくつか見てきましたが、今回のお題は「受ける」という動詞。

何気なく使っているようで、実はいくつも意味を持つ「受ける」という言葉。人間なら文脈から簡単に判断できますが、Google翻訳はそこまで読んではくれないようです。

今回の原文はWeblioより、以下の文章。

12月3日の健康ワークショップでの講師の依頼をお受けくださったことに、取り急ぎお礼申し上げます。

先生の有益な講義を受けることで、弊社社員の健康意識ならびに健康状態の改善がなされることを願っております。

ワークショップの詳細については、用意ができ次第、追ってご連絡いたします。

これをGoogle翻訳にかけたのが以下の訳文。

I thank you very much for receiving my lecturer’s reques at the health workshop on December 3rd.

We hope that by receiving beneficial lectures of the teacher, we will improve our health awareness and health condition of our employees.

As for the details of the workshop, we will contact you as soon as we are ready.

出典ページには対訳文があるのでそれも参考にしつつ、訳文のポイントを見ていきましょう。

「受ける」の訳語

この文章には全体で「受ける」という言葉が2回出てきており、それぞれに同じ「receive」という訳語が当てられています

最初は「依頼を受ける」、2度目は「講義を受ける」。この両方に「receive」という訳語で本当にいいものでしょうか。

「receive」という単語は単に「受け取る」という意味が強い単語です。受け取って所有者が変わるという含みもなく、たとえば誰か別の人に渡す手紙を「receive」する、つまり一時的に預かるため受け取るという風にも使えます。それぞれの「受ける」に「receive」で表せる以外の意味があれば、別の訳語を使う必要があります。

最初の「依頼を受ける」に「受け取る」以外の意味も含まれていることは明らかでしょう。依頼を「receive」しただけだと、単に依頼文か何かを受け取ったというだけで、必ずしも受諾したという意味にはなりません。この文章は依頼を受諾してくれたことに対するお礼のメールですので、「receive」とは別の英単語を使わなければ通じなくなってしまいます

この場合望ましいのは「accept」という単語。これは「受託する、受け入れる」という意味なので、文脈に沿っています。

2度目の「講義を受ける」はどうでしょう。こちらも英語の一般的な表現を考えると「receive」よりも「attend(出席する)」の方が自然なのでこちらを出力させたいところです。こちらも「受ける」を「出席する」に書き換えればそのまま出てきます。

用意ができ次第

この箇所の訳文は「as soon as we are ready」。出典ページの対訳を見ると「as soon as we can provide it」となっています。「it」はワークショップの詳細を指しているので、「詳細をお知らせできるようになり次第」という意味になっています。

Google翻訳の訳文も一応「こちらの用意ができ次第」となってはいるので、ある程度伝わるだろうとは思います。とはいえ対訳の方が個人的には好みの訳。このように出力させるにはどうすればいいでしょう。

「詳細については、ご提示できるようになり次第、追ってご連絡いたします。」という入力が一例として考えられるでしょうか。これで「Details will be announced as soon as we can offer it.」となり、おおむね似た意味になります。

また別の言い方として、「as soon as it becomes available」という訳文もアリでしょうか。こちらは「詳細が明らかになり次第」というような意味合い。「available」は「利用可能/アクセス可能」という意味なので厳密にはこの意味であると言い切れないのですが、日本語の自然な言葉に訳すのが難しいのでご了承を。

こちらの訳文を出したい場合は「それが利用可能になり次第、追ってご連絡いたします。」と入力すればこの通り出てきます。「available」からの和訳は少し難しいものですがその逆はそうでもなく、「利用可能」という日本語を辞書の意味の通り「available」と直訳してくれるので、この通りすんなりと訳文ができあがります。

今回の例を見るに、「受ける」という動詞の訳はあまり文脈を勘案してはくれず「receive」でまとめられる場合が多そうです。訳させるときはより意味の幅が狭い単語に置き換えた方がいいでしょう。

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