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人名の読み取りはGoogleもMicrosoftも同じぐらい下手なのかもしれないということ

今回も過去の記事で取り上げた文章をもとに、MicrosoftとGoogle翻訳を比較していきます。

そこから見えてきたのは、人名の訳の難しさ、そしてそれに関わる、おそらく両機械翻訳にある程度共通する規則でした。

今回の原文はWeblioより、以下の文章。これは過去の記事でもGoogle翻訳の訳例を取り上げたものです。

ボンド様のご逝去を聞き、心よりお悔やみ申し上げます。
ボンド様はビジネスマンとしてだけでなく、人間としても素晴らしい方であったと存じます。彼を失ったことは貴殿だけでなく私たちにも大きな損失となるでしょう。
このたびは誠にご愁傷様でした。
ご冥福をお祈り申し上げます。

Microsoft翻訳訳文は以下のようになっています。

オンライン

I am deeply sorry to hear of your passing. I believe that bond-like is a wonderful person as well as a businessman. Losing him will be a great loss not only to you, but to us as well. Thank you for your condolences. We pray for the rest of our souls

オフライン

I would like to hear the death of Mr. Bond, and express my deepest regret. The Bond was a great way to be a businessman, as well as a man. The loss of him will be a big loss to us as well as yours. This was a very nostalgia for me. I wish you all the good

以下より、訳文のポイントを見ていきましょう。

ボンド様のご逝去を聞き

オンラインの訳文は「I am deeply sorry to hear of your passing」。「あなたがご逝去したという報せを心より残念に思います」というような意味です。「ボンド様」と個人名を指定している原文とは違い「あなたの訃報」となっているミスはあれど、おおむね意味は取れています

オフラインの訳は「I would like to hear the death of Mr.bond, and express my deepest regret」。「訃報を聞き」という部分を「hear of your passing」とまとめていたオンラインの訳文とは構成が異なっています。こちらは文を「and」で結んでおり、「訃報を聞き、そして深くお悔やみ申し上げます」というようなニュアンスになっています。そしてこちらの訳文はちゃんと「ボンド様の訃報」と訳せています。

ただし「訃報を聞きました」を「I would like to hear the death of(訃報を聞きたいです)」と訳してしまっているのは明らかな間違いでしょう。原文の表現として、訃報はすでに聞いた上で哀悼の意を表しているわけですから、この訳文では全然意味が違ってきます。

オフライン訳で何よりも見るべき点は、「ボンド氏」を正確に人名だと判定した上で訳せている点でしょうか。詳細は以下で解説していきますが、オンライン・オフライン訳のどちらを見ても、「ボンド様」を人名として扱っているのはこの箇所だけです。

「ボンド様」の訳

Microsoft翻訳は全体的に、原文の「ボンド様」を人名であるとうまく認識できていないフシがあります

オンライン訳で「ボンド様」を含めた箇所は、「I believe that bond-like is~」となっています。ここは原文で言えば「ボンド様はビジネスマンだけでなく~」に相当する箇所。問題は「ボンド様」に対応するのであろう「bond-like」という語です。

この「like」はおそらく「~のようである」という意味。これは「様」を敬称としてではなく「~のようなありさま/様子」を指す言葉だと認識した結果の訳だと思われます

次はオフライン訳を見てみましょう。

オフライン訳は1文目の「ボンド様」をきちんと人名と判断し、「Mr.Bond」と訳しています。ところが正確なのはここだけで、2文目は「the Bond」になってしまっています。

普通なら人名に「the」はつかないもの。この訳文は「ボンド」を人名でなく、何かの一般名詞として判断したことがうかがえます

2文目の訳に関してはGoogle翻訳も「Mr.」を除いた「Bond」という訳になっています。こちらもMicrosoft翻訳と同様に、もしかすると正確にボンドを人名と判断できなかったのかもしれません。しかしMicrosoft翻訳は「the」をつけたことで、明らかな誤訳になってしまっています。

とはいえ考えてみると、「Mr.」や「Mrs.」など、男女で敬称が異なる言語へ人名を翻訳することは難しいタスクです。文脈あるいは推定をもとに、該当の人物が男性なのか女性なのかを判断しなければならないのです。

そう考えると、ボンド様についての背景情報が何もない1文目を訳せて、以降を訳せていないのは不自然です。どうも前後の文脈から判断しているわけではなさそうで、別の規則に従っているように思われます。

「ボンド様」の訳語を決定するにあたっては、Microsoft翻訳もGoogle翻訳も似たような仕組みに頼っているようです

ご愁傷様でした

ここはGoogle翻訳が珍奇な英訳をした箇所ですが、Microsoft翻訳もうまく訳せてはいません。

ただしオンライン訳の訳文に入っている「condolence」には「哀悼の言葉」という意味があります。文章全体を見れば「お悔やみの言葉を頂いてありがとうございます」となっており、お悔やみの言葉を贈る側が逆転してしまっているという間違いはあれど、哀悼の意を表すというニュアンスを取り入れている分Google翻訳よりは原文に近いといえなくもないでしょう。

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